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あしたなんていらないから?

[264]  あめの  2006-07-14投稿
『初めて会った日も死のうとおもってたんだよ。』
『うん。』
『だけど、ブンがあしたも来てくれるっていうから、やめたの。』
『うん。』



ユキはずっと喋ってる。




『だけど、ブン毎日遅刻するんだもん。』
『うん。』
『明日は来ないだろうなって思ってたのに。』



ユキの声がふるえだす。




『ブンが遅刻しなければ、あたし死ねたのに。』
『うん。』




ごめんね。と言うべきなのだろうか。



僕は迷った。




『ブン、あした遅刻しないでね。』



ユキが泣きながらいう。



そんなに好きだったひとが結婚してしまうなんて。



そりゃ死にたくもなるさ。




『ユキは死にたいの?』



初めて名前をよんだ。


こんな質問で使うなんて。




『………わかんない。』



ユキは疲れきった声で呟く。



『あしたがこなければいいのにね。』



そう呟いて、また涙をチラッとみせた。





僕はいま



何をすればいいんだろう。






今日は昨日になって


明日は今日になって





『……………明日は今日になるんだよ。』
『…………え?』




ユキが顔をあげる。




『どんなにつらくても、嫌でも、明日はくるよ。』
『………わかってるよ。』
『でも、明日は今日になるんだよ。』
『………?』
『それで、今日が昨日になるんだ。』
『ブン。あたしわかんない。』



ユキは笑ってる。




『明日なんか来ないよ。』




僕が言ったらユキはキョトンとした顔をこちらに向けた。




『明日も昨日も、みんな今日になるから。』
『…………ブン?』
『おれ明日なんていらないから。』
『ブン泣かないで?』



泣いてない。涙が勝手に出てくるだけだ。




『明日も今日にするよ。』
『………結婚式は明日なんだよ。』


僕はにこりと笑ってみせた。





『明日はいつだってやってくる。』



屁理屈かもしれない。

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