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あしたなんていらないから?

[271]  あめの  2006-07-14投稿
『あしたなんてこれからいっぱいくるよ。』


彼女は全然わからないって顔をしている。


僕もわからない。



でも





『僕はあしたも遅刻する。』



そのあしたもそのまたあしたも。




『今日にするよ。あしたも今日にする。』




何言ってるんだろう。



日本語がなってない。




ユキは、わらっている。



笑うなよ!


叫ぼうとしたときだった。





『あいだふみやーーーーーーーッッッ!!!!!!』




担任の怒鳴り声がした。





気が付くと空はうっすら夕焼け色に染まっていて


グランドからは野球部の掛け声が聞こえる。




『…………また、お呼びだし?』
『みたいだね。』



今ここを離れたら、ユキは死んでしまうかも。



『はやくいかなきゃ。』


ユキが急かす。




僕はなにも言わずに立ち上がって、屋上のドアを開けた。


階段を降りようとしたら



人影が後ろにある。




『…ユキ?』



ユキは、昨日と同じように、泣きそうになりながら
でも笑って



『明日も来るの?』


と尋ねた。



僕は考えるふりをして、ゆっくり振り返って



『うん。来る。』



と答えた。




ユキは、クスクス笑って、先生に怒られちゃうよ。なんて言う。


僕は苦笑いをしてから階段を降りた。



そして僕からユキが見えなくなったところで、言った。









『俺もユキって名前好き。』










そのあとは、とにかく急いでしょくいんしつに行った。



顔が熱い。




ガラガラッッッと勢いよくドアを開ける。




先生!明日も遅刻です!





その日の担任の怒鳴り声は
300m先の駐輪所まで聞こえたらしい。

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