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スラム part50

[554]  やいち  2009-05-05投稿
中学生っぽい少年が立ち上がった。
「お願いします!!」
力強い声で言った。
「簡単に崩されるなよ。」
修二はその少年に言った。「はい!!」
元気のある声が返ってくる。
再び乱取りが始まる。
組手争い。

さっきより、少年の組手がうまくなってる気がした。飲み込みいいな。
と修二は思った。

ガッ!!
袖をとられた。
修二は瞬時に袖をとられた腕を引いて相手を崩しにかかる。
その瞬間。

スパンッ!!
足が浮く。
片組からの小内刈り。
修二は体をひねった。が、間に合わない。

バァン!!
技ありはありそうな体勢で投げられた。

「どうした?修ちゃん。そいつ小学生だぞ。」
西門さんが笑いながら言った。

小学生?
言われてみれば、たしかに小柄だ。
でも他の子達とは何か違う気がした。
だから修二はその少年は小学生だと思っていた。

「まぁそいつ、宮河伊織(みやがわいおり)って言うんだけど、そいつはちょっと他の子達とは違う感じがあるだろ。宮河は県大会優勝してるからな。」
西門さんが言った。

そりゃすごい。
小学生の大会は階級制がない。
ということはこの小柄な少年、伊織は自分の倍くらいある選手を次々と倒していったことになる。

「次の全国大会でも優勝とか狙っていけるほどだ。嘉谷さんも、俺の見てきたやつでこんくらい強いやつは久しぶりやぁって言ってたからな。」

「僕、そんなにすごくないですよ。」
伊織が話し出した。
恥ずかしかったのか、顔が赤面している。
「小学4年からやりはじめてこんなに強くて何言ってんだ。そうだ修ちゃん、宮河ともやったことだし久しぶりに乱取りするか。」
西門さんが言った。

待ってました!!
修二は心のなかで叫んだ。

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