エンブレム〜第一章〜?ー?
「…じゃあ行きましょう、鬼好が私達を待っています」
「別に鬼好は逃げないだろ…」
それとも足でも生えてるのかその店は?
「売り切れになるのだけは絶対に御免です…」
そう言ってグイグイと、奏は俺の手を引っ張った。
「早く…。急ぎましょう…」
「ああ…はいはい」
お前ホンットにおにぎり好きなのな…、と呆れるように言ってから俺は奏に引き摺られるように目的地の鬼好亭へと歩き出した。
一体幾らくらいこいつの為に払わされるのかなとか少々気を重くしながら…。
*
この後。
鬼好亭から家に着くまでの間に、俺は先程の女性との会話を全て忘却してしまっていた。
これを忘れなければ。あるいは覚えている事が出来たなら。もしかしたら、違う結末があったのかもしれない。
いや、そんな事を言っても意味がない。
既に終わっている事をとやかく言っても何も変わりはしない。そもそも俺は、それを変えたいとも思っていないのだ。
俺は助ける気がなかった。
彼女は変わろうとする気がなかった。
これら二つがその結末へと導いた、ただそれだけなのだ。
これは、そういう物語。
人を探す女性。それに巻き込まれた人々。
ただ、それだけの物語。
「別に鬼好は逃げないだろ…」
それとも足でも生えてるのかその店は?
「売り切れになるのだけは絶対に御免です…」
そう言ってグイグイと、奏は俺の手を引っ張った。
「早く…。急ぎましょう…」
「ああ…はいはい」
お前ホンットにおにぎり好きなのな…、と呆れるように言ってから俺は奏に引き摺られるように目的地の鬼好亭へと歩き出した。
一体幾らくらいこいつの為に払わされるのかなとか少々気を重くしながら…。
*
この後。
鬼好亭から家に着くまでの間に、俺は先程の女性との会話を全て忘却してしまっていた。
これを忘れなければ。あるいは覚えている事が出来たなら。もしかしたら、違う結末があったのかもしれない。
いや、そんな事を言っても意味がない。
既に終わっている事をとやかく言っても何も変わりはしない。そもそも俺は、それを変えたいとも思っていないのだ。
俺は助ける気がなかった。
彼女は変わろうとする気がなかった。
これら二つがその結末へと導いた、ただそれだけなのだ。
これは、そういう物語。
人を探す女性。それに巻き込まれた人々。
ただ、それだけの物語。
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