咎 9
16階へ向かう昇降機の中、彼は15階の人審士と会話していた。と言っても人審士が一方的に話すだけだったが。
腕組みをした状態で人審士が話し出す。
「我々、現人型がなぜ作られたか知っているか。」
「いや。」
彼は人審士の話に興味が無いのか素っ気ない返事を返した。しかし人審士はそれに構うことなく話を続ける。
「大昔、人間は二つの勢力に分かれて戦争をしていてな。それが長い戦争でな。状況が煮詰まって遂に一方が禁忌を犯した。長らく御神体として扱われていた超構造大樹、大フィミーリアを資源として使用し始めたのだ。使用する一昔前から大フィミーリアが特別な物質で出来ており有用性が非常に高いことは分かっていたそうだが…宗教、理念的なもので手を出せないでいたのだろう。」
人審士が彼を少し見やり話を聞いていることを確認して、さらに続ける。
「そしてその物質を主にして作られたのが現人型だ。様々な形状の物を作成したそうだが不思議なことに人型が最も物質の力を発揮出来たそうだ。そして実戦に投入された。お前ももう知っているがこの体のステータスは異常だ。何しろ決して朽ちない体だ。それから十数年、たった十数年で現人型により戦争は終わった。だが、人間は終戦したその後のことを考えていなかった。生まれて老いて死ぬまで戦時中だったことが何世代にもわたって続いたのだから当然と言えば当然なのだろうが。話し合いの結果で一つの案が採用されてな。それがこの塔、煉籠に現人型を集め闘わせるというものだった。戦争が終結して六十余年、塔が完成した。平和ボケした人間にはさぞ面白い見せ物だっただろう。」
彼の体が少し反応した。それを見て人審士が微笑みまた続けた。
「悔しいか。だがもう人間はーー」
言い切る前に昇降機が16階に到着し自動で扉が開いた。
「まぁ良いか。どうせもうすぐ知ることになる。」
そう言い残し、人審士は昇降機を後にした。彼はしばらく壁により掛かったまま動かなかったが考え直し人審士の後を追った。
腕組みをした状態で人審士が話し出す。
「我々、現人型がなぜ作られたか知っているか。」
「いや。」
彼は人審士の話に興味が無いのか素っ気ない返事を返した。しかし人審士はそれに構うことなく話を続ける。
「大昔、人間は二つの勢力に分かれて戦争をしていてな。それが長い戦争でな。状況が煮詰まって遂に一方が禁忌を犯した。長らく御神体として扱われていた超構造大樹、大フィミーリアを資源として使用し始めたのだ。使用する一昔前から大フィミーリアが特別な物質で出来ており有用性が非常に高いことは分かっていたそうだが…宗教、理念的なもので手を出せないでいたのだろう。」
人審士が彼を少し見やり話を聞いていることを確認して、さらに続ける。
「そしてその物質を主にして作られたのが現人型だ。様々な形状の物を作成したそうだが不思議なことに人型が最も物質の力を発揮出来たそうだ。そして実戦に投入された。お前ももう知っているがこの体のステータスは異常だ。何しろ決して朽ちない体だ。それから十数年、たった十数年で現人型により戦争は終わった。だが、人間は終戦したその後のことを考えていなかった。生まれて老いて死ぬまで戦時中だったことが何世代にもわたって続いたのだから当然と言えば当然なのだろうが。話し合いの結果で一つの案が採用されてな。それがこの塔、煉籠に現人型を集め闘わせるというものだった。戦争が終結して六十余年、塔が完成した。平和ボケした人間にはさぞ面白い見せ物だっただろう。」
彼の体が少し反応した。それを見て人審士が微笑みまた続けた。
「悔しいか。だがもう人間はーー」
言い切る前に昇降機が16階に到着し自動で扉が開いた。
「まぁ良いか。どうせもうすぐ知ることになる。」
そう言い残し、人審士は昇降機を後にした。彼はしばらく壁により掛かったまま動かなかったが考え直し人審士の後を追った。
感想
感想はありません。
「 アオ 」の携帯小説
SFの新着携帯小説
- 〜Stliker〜 哀編 (180)
- 〜Stliker〜 哀編 (179)
- 〜Stliker〜 哀編 (178)
- 〜Stliker〜 哀編 (177)
- 〜Stliker〜 哀編 (176)
- 〜Stliker〜 哀編 (175)
- 〜Stliker〜 哀編 (174)