時と空の唄13-9
三人はただひたすらに走った。
唄に誘われるように、導かれるように。
この唄の先にシーラがいる。
ただそれだけの為に、三人は薄暗い洞窟を駆けた。
流れる唄が全ての罠を無効化していく。
やがて三人は、本や懐中時計の中と同じ光景に辿り着いた。
「シーラ!!」
今まで流れていた唄が止んだ。
「ランス…みんな…」
「シーラ、無事だなっ!?」
そう言ってランスォールは力一杯シーラを抱き締めた。
「ちょ…ランス?」
「勘弁してやれよ、シーラ。
こいつお前が心配で死にそうだったんだからさ。」
「ラウフっ!」
「あながち間違いでもないと思いますよ。
ランスさん、シーラさんがさらわれた後かなり焦ってましたからね。」
「雪まで…」
二人の口振りからランスォールがどれだけ彼女の身を案じていたかわかる。
シーラは顔を綻ばせながら幸せと喜びを噛み締めた。
「ありがとう、ランス。
ありがとう、二人とも。」シーラの笑顔にそれまでランスォールをからかっていた二人の顔にも自然と笑顔が滲み出ていた。
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