短編 気づいて
夜中に寝られず、私は友達からきたメールを見直していた。
中学からの悪友は、高校生になった今も相変わらずやりたい放題生きてるみたい。
「二股が彼氏にばれた」
というメールから
「バイクが調子悪いから煙草買いに行くの面倒」
とか、幅広い。
何しろどうでも良いことをちょこちょこ入れてくるから暇潰しにはもってこいだ。
私はベッドに横になり、電気を消すと、暗闇で光る携帯を見続けていた。
と、メールが入る。
…またまた彼女だ。
「ったく、こんな深夜にまでメールしてくるんだから…」
あんたのせいで夜はいつもマナーモードにしてるんだからね、とか心の中で呟いて開いてみる。
「気づいて」
…?
件名はなく本文はこれだけ。
なにが?
間違えたのかしら。
また、携帯が震える。
彼女からメールだ。
「気づいて」
…まただ。
なんのことだかわからない。
私は妙に胸が騒いでいた
「なにが?意味、解んないんだけど」
メールを打ち返す。
ブルルっと震える携帯。
私はなんだか気味が悪くて開きたくなかったが、やはり気になってメールを見る…。
「横」
…。
…………私のベッドは壁にくっついている。
その壁には窓があり、今はカーテンが掛かっている。
私は、指でそっと、カーテンをつまんだ。
あ。
ゆっくり引いたカーテンの裾から、指。
窓、閉めてるのに。
真っ赤に濡れた親指が蠢いた。
途端に手の中にある私の携帯が震える。
私はそれを見れずに、彼女の血塗れの指を見つめ続ける…。
もう気づいたよ。
だからメール、しなくていいのに。
真っ赤な手首がグイッと乗り出したとき、私はそんなことを考えていた。
終
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