携帯小説!(PC版)

[521]  成山  2009-05-06投稿
ピッピッピ〜〜〜

試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く

ああ…終わった…

3対0
完敗だった

初の大舞台に立った11人に突き付けられた現実はあまりに厳しいものだった

スタンドでは勝ったチームの応援団が騒ぎ立てている

うるせぇ…
静かにしろ…
まだ一回戦だろうが…

そんな言葉を頭の中で繰り返す

試合後、選手一人一人が握手をかわしている
グランドにうずくまり動かない選手を起こして回るキャプテン
その目には涙はなく、とても力強かった

試合後のロッカールーム

その空気はとても重苦しく、俺はどこかへ行ってしまいたいと思った

これで引退の3年生が一人ずつ口を開く

「楽しかった」
「がんばれ」

そんなありきたりな言葉ばかり…

中には鳴咽まじりでほとんど言葉になっていない奴もいる

最後にキャプテンが口を開く
その言葉はとても力強く敗者のものとは思えなかった

「立ち止まるなよ、振り返るなよ、そして俺達を越えて行け」

それだけ…
だが想いは痛いほど伝わる
その一言には彼らの言いたい言葉全てが詰まっている気がした

ああ…そういうことか…

あんたらは俺らにそれを…

帰りの道
俺は先輩の背中に大声で叫ぶ

「越えますよ!絶対に」

すると先輩は「ああ」と小さくつぶやき目に手をあてた

だがその口元はわずかに緩んでいたように見えた

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