黒の光
何が僕をこんなにも苦しめたんだろう…
そんなの分かっている。言われなくても分かっている。ただ考えたくないだけだ。
僕の両親が二週間前に亡くなったのだ。
ボーと空になってしまった僕の心。
何も考えられない。否、何も考えたくない。
僕は本能のままに両親の墓に向かって歩いていた。
何も考えることもなく、田舎の森林に包まれた細い道を一人ぼっちで歩いていた。
何十分か歩いたら墓についた。僕の両親の墓は一番奥にある。
音なく静かに歩いていた。
しかし、ふと足を止めた。
誰かいる。
手を合わせている後ろ姿が見える。しかも僕の両親の墓だ。
ゆっくり近づいていく。何歩目かに下にある石に気づかず、蹴ってしまった。
ガッ!!
静かな風があたりを取り巻いた。
ロン毛の手を合わせている女の子がこちらを振り返る。
時が止まる。
女の子の髪だけが靡いている。女の子は泣いていた。
僕の頬が自然と赤くなる。
一目惚れをしてしまったようだ。
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