○あなたの隣に○ No.8
「あっ…隆史くんじゃん、アレ。」
エリカがそう言うと、隆史はこっちへ向かってきた。
「今日、ちょっと奈々美に話があって、その…ちょっといいかな?」
奈々美は黙り込んだ。三宅コーチはそっと会話を聞いていた。
「いまさら、何の用っていうの?より戻そうっていうの?やめてくれないかな?奈々美、こまってんじゃん!」
エリカが怒鳴った。
「やめて?エリカ。。 あのさ、隆史…ごめん、私は話すこと無いから。」
「奈々美!お願い。どうしても話したいことがあるんだ。」
「聞きたくない。それに、今日はコーチが家まで送ってくれるっていうから。だから、待たせると悪いし。もう、かえるね。」
奈々美はコーチを引っ張り、コーチの車へ乗り込んだ。
二人が車に乗り込んだので、エリカは隆史に今までのことを全て聞き出すことにした。コーチと奈々美はそのまま帰っていった。
「で?どういうことなの?なんでいまさら奈々美を呼び出す必要があるの?」
「あのさ、俺好きだったんだよ。ずっとずっと。別れたくなかったんだ。」
「どういう意味…?意味かなんない。」
「お前さ、奈々美モテんの知ってるだろ?それでさ、奈々美のことスキな奴らに呼ばれて『別れなきゃ、奈々美をひどい目にあわせる』みたいにおどしてくっからさ。もちろん最初は脅しだと思った。けど実際、奈々美の写真とか隠し撮りしてばら撒いてんだぜ?どうもできねーっと思ったんだよ、俺。」
隆史は今にも泣きそうな声で言った。
「隆史くん。だんだんエリカ、むかついてきたんだけど!!それを守るのが彼氏の仕事なんじゃないの??奈々美のことを最後まで守るのが彼氏なんじゃないの?スキなら、なんで守んないのよ!!」
「守ったじゃねーかよ!!別れたら、何もしねーんだから、守ったことになるだろ!!だから、別れるとき何も理由言えなかったんだよ。言ったら、ぜってーあいつならこういうだろ?「私は大丈夫だから」って。大丈夫なはずねーんだよ。」
エリカは黙り込んだ。
<つづく>
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