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奈央と出会えたから。<358>

[442]  麻呂  2009-05-13投稿

『なっ‥‥何だね、木下っっ!!

お前は、いつからここにいたんだ?!

北岡の肩を持つとは、どういう事だ?!
お前が北岡と付き合っている事は、ここにいる皆が知っている。

それを承知の上で、お前は北岡をかばうのだから、それは正当な理由があっての事なのだろうな?!』



渋川の、銀縁の眼鏡ごしに、細い視線がキラリと光った。



校長は、ハラハラした目であたしを見つめ、



森宮の父親は、冷たい目で冷静に見ている。



そして、



森宮 ヒロキは、その横で、ニヤリと含み笑いをしていた。


渋川の問い掛けに、


あたしは“もちろんです。”って、



そう答えるつもりだった――



なのに――





『――俺、謝ります。』



聖人が、あたしより先にそう言ったんだ――



そして、



聖人は次に、森宮に視線を向けた。



『森宮‥‥あのトキ殴ったコト――』



待って!!



聖人は悪くないよっっ!!



謝らせないっっ!!




『あたしをかばってくれたんですっっ!!』



聖人に謝らせるもんかっっ!!



その一心で叫んだ、あたしの声が、



聖人の声をさえぎってしまった――





『‥‥は‥‥は‥は‥‥‥。

これは一体どういう事ですか?!

校長先生に、渋川先生?!』



森宮の父親は、怒りで声が上擦っていた。



『し‥‥渋川君!!
な、何という事だね?!

君の受け持ちの生徒は2人とも!!

どういう教育の仕方をしているんだ君は?!』



校長がオロオロしながら渋川に言った。


『き、き、き、木下っっ!!

お前は一体どういうつもりだ?!

せっかく、この天邪鬼の北岡が今、謝ろうとしていたのに、邪魔しおって!!

ちゃんと説明しなさい!!』



ぷるぷる体を震わせている渋川に対して、



あたしの心は冷静だった。



聖人は、あたしの方を心配そうに見てたケド、



あたしは決心していた。



腐った大人は、



これ以上腐りようがないケド、



腐った大人に、



綺麗な心を腐らされる前に、



あたしは真実を語る――



もはや腐りかけ始めているソイツ――



森宮 ヒロキの為にもね――

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