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墓地の幽霊

[1232]  hiro  2009-05-14投稿
どうぞゆっくりと、僕の話を、聞いていって下さい。
ある、夏のことです…。

とある学生たちが、修学旅行で、大きな墓地に、来ていました。
肝試しのかわりに、地元の人が、夜の墓地で、学生たちに怖い話をする、ということだったんです。
さっそくその男は、話を、始めました。「まずは私の自己紹介から。私は双子としてこの土地に生まれまして…」
学生たちは、男の話を、夢中で、聞きました。
「1人は太郎、もう1人は次郎と名付けられました。
しかし生後数週間というある日、私たち双子が取り違えられてしまったんです。
なんたって2人の顔は瓜二つだったらしいですから。
それから間もなく、1人が病気で死んでしまいました。
未だにどちらが死んだのかわからないままでして。結局私は太郎なのか次郎なのか…。
それである日、たまたま母の日記を見つけたんですよ。
たしか、母が死んだ後のことでした。
その母の日記には、こう書かれていたんです。
《死んだのは、左の二の腕に大きなホクロがある方だった》
とね」

その時、不気味なくらいの、静寂に包まれていた墓地に、学生たちの悲鳴が、こだましました。

「そう、私にもそのホクロがあるんです」

そして、男が、大きな声で、言ったんですよ。
「実は、ここの墓地では幽霊が出るらしいんです。
例えば、この私……とかね」
そこで男の様子が、急変して、狂ったように、叫び始めたんです。
「私は誰なんだ!私に名前をくれ!」
それから男(幽霊)は、ノブオという、1人の学生を、殺しまして、多分、今も、ノブオと名乗って、人間界をうろついている、ことでしょう。
あなたも、気をつけた方がいいですよ。
ノブオ、という名前で、左の二の腕に、大きなホクロのある男には…。

ああ、そういえば、その殺されたノブオ、という学生には、
無駄に何度も区切って、途切れ途切れで話す
という、癖が、あったんです。

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