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夢のような世界

[792]  hiro  2009-05-16投稿
気づいたら、ここにいた。
暗く、小さな部屋。
床、壁、天井の全てが無機質な灰色をしていて、かたく、冷たい。
この部屋には、何もない。
窓も、明かりも。ドアさえもない。
ただ、自分という物体があるだけ。
ここがどこなのか知らない。知りたくもない。
自分が誰なのかもわからない。
なぜここにいるのだろうか…。
もしかしたら自分はこの部屋で生まれたのかも知れない、
何のために?
死ぬため…。

かなりの時間が経った。
ただ、それだけ。
不思議と空腹感はない。
眠気も全く感じない。
まさか、この部屋、本当に何もない…?
そう考えると、死にたくなった。
しかし、ここには何もない。
ナイフも、拳銃も、毒薬も。
ただ、孤独だけが充満している。
永遠の孤独…。

どれくらい経ったのだろうか。
すでに知ってしまった。
この部屋には本当に何もないことを…。
窓も、ドアも、拳銃も、鏡も、眠気も、希望も、色も。
それから、時間さえもない。
つまり自分に死は訪れない。
この部屋には、「死」までもないのだ。
ただ、自分という存在と、孤独だけがある。
時間が存在しないからこそ、孤独だけはあるのだろう。
永遠の孤独…。
それは、死ぬことよりも辛いこと。
つい最近、それを知った。


人がたくさんいて、
溢れるほどのものがあって、
時間になったら死が迎えにくる。
そんな夢のような世界を想像した。
それから、「贅沢すぎるな」と
笑ってしまった。

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