CORRIDA 『少年の過ち』3
その女性は、真っ直ぐカウンターまで歩いてきてジョニーの隣りに座った。
すかさずジョニーは彼女に話し掛ける。
「あなたが依頼人のケリー・マディソンさんですか?」
そのケリーというダークブロンドの女性は大体30代前半くらいであり、なかなかの美人だ。
彼女は目を丸くしながらジョニーの方へと顔を向け、応えた。
「は、はい、そうです。もしかしてあなたがジョニーさん?」
「えぇ、そうです」
彼女は笑みを浮かべながら、右手を差し出して言った。
「よ、宜しくお願いします」
ジョニーも笑みを浮かべ、彼女と握手しながら応えた。
「こちらこそ」
すると、エリックが彼女に尋ねた。
「何にする?お嬢さん」
彼女はしばらくメニューの一覧に目を通し、考えた。
すると
「じゃあ、レモネードで」
「はいよ」
エリックは数秒もしない内に、レモネードをカウンターテーブルの上に置いた。
「ありがとうございます」
彼女はそう言って、レモネードを口にした。
そこでジョニーは早速、彼女に用件を聞く事にする。
「早速だが、ケリーさん、用件は何でしょう?」
彼女はゆっくりとコップをテーブルに置き、話し出した。
「私の息子が、家を出て行ったきり帰ってこないんです‥もう半年以上経ちます‥」
彼女は、先程までの笑顔とは一変して、悲しげな表情へと変わっていた。
「なるほど。家出か。つまり、その息子さんを連れ戻してきて欲しい訳だな?」
「は、はい‥」
すると、彼女はバッグから一枚の写真を取り出し、ジョニーに渡した。
その写真に目を通しながら、ジョニーは言う。
「ふふっ、ハンサムだな。年はいくつです?」
「今年で、15です。名前は、エディです」
「なるほど。それじゃあ、この写真はしばらく預かりますよ」
ジョニーはそう言って、写真を懐のポケットにしまった。
「‥あんなつまらない事で家出しちゃうなんて‥ああ、心配だわ‥」
「反抗期ですからねぇ。まあ、安心して下さいよ。エディ君は必ずあなたの所へ届けますから」
「あ、ありがとうございます。本当に心強いわ」
続く
感想
感想はありません。