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○あなたの隣に○ No.11

[372]  スミカ。  2006-07-15投稿

奈々美は、コーチの言葉を思い出していた。

=そばにいる悲しみを選んだら?=

奈々美は口を開いた。
「隆史、奈々美ね。別れてからもずっとずっと好きだったんだよ?隆史のこと。だけどね、奈々美は隆史のこと好きでいちゃだめなんだって思ってたんだ。」
「そんなことない!もう一度…ね?」
隆史が必死でそう言うと、奈々美は少し笑っていった。
「ううん…もぅ無理だよ。奈々美、また別れること考えちゃう。もう傷つきたくないよ。」
「もう、悲しませないから!絶対に…傷つけないから!!」
「信じられないよ。。何も言わないで別れを言われた奈々美の気持ちがわかる?ホントにホントに苦しかったんだよ?奈々美は何がわるかったのかなって考えたりもしたし、どうすれば戻ってきてるのかって考えたりもしたし。隆史が怖いんだよ。。」
「奈々美。。ごめんな。ごめん。もう俺のこと、好きじゃないんだね。」
「好きだよ。大好き!忘れられるのにはまだまだ時間がかかるかもしれない。だけどね、隆史のこと忘れたいの。いい思い出にしたい。だから、もぅやめよう?もぅお互いきれいさっぱり忘れようよ!」
隆史は何も言わず、家に帰って言った。

奈々美は、そばにいる悲しみは選べない。そばにいるなら悲しみたくない。
隆史の傍にいるときはいつも笑っていたい。心から笑顔で笑っていたい。
だから、もぅ悲しいって分かってるから。。そばにはいたくない。
コーチ、コーチは傍にいる悲しみをえらんだら?って言ってくれたけどね。
奈々美はそのコーチの言葉で分かったよ。もぅ、隆史の傍にはいられないって。

その日、奈々美は隆史と初めて手をつないだ日の夢を見た。
これで、よかったんだよね。これで…。はやく忘れよう。
隆史のことなんて、はやく忘れよう。
<つづく>

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