携帯小説!(PC版)

pain

[241]  mia  2009-05-22投稿
「リヒネは、この沿岸都市レキンザから、南東に進んだ先にある。途中、ベラ湿原を越え、更にノースリヒネ渓谷を越えなければならない。…短く見積もって二週間はかかるぞ」

「わかってる。心配するな、ダニエル。私がついてる。フェンリも、アリスも、必ず無事に連れて帰る」

「すまない…アッシェン。気付いているだろう、私は本心ではおまえが行くというのを待っていた」

ダニエルは唇を噛んだ。

「…いいよ、別に」

私はダニエルに笑いかけた。

「せめてこれを」

ダニエルは、白い石を差し出した。

「魔法石だな!」

フェンリが横から会話に入った。

「そうだ。この石には、ワープの魔法思念が込められている。なにかあったら使え」

「わかった!」

フェンリは手を挙げた。

「ではいってくるよ」

「アッシェン、頼むぞ」

「うん」

「いってくるよ、ダニエル!」

私とフェンリはダニエルに背を向け、歩き出した。

「ふ…うまく利用されてくれ、漆黒の悪魔よ。騙し続けろ、…フェンリ」

ダニエルは誰にも聞こえないような小さな声で呟き、二人を見送った。




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