ランドマーク/涙枯れるなんて誰が言ったの?
君はどれほど泣いたのか、俺には分からない。でも君はいっぱい泣いたんだろ。とにかく、それだけは分かる。
俺は今日も帰ってきた。部屋の中には小さな電気の光がぼんやりと充満している。
君は今日もベッドの上で静かに寝息をたてていた。
君は、今日もいっぱい泣いたんだな。寝顔をみたら分かる。
君は、寝る前にいっぱい泣いたんだ。いっぱい泣いて、泣いて、そんで、疲れて寝てしまったんだ。今日も。
俺は、そんな君の寝顔をしばらく見続けていた。とにかく、眺めているしかなかった。どうしたらいいのか、俺は分からない。
俺は君の髪をそっと撫で、頬を撫で、そして優しく抱き締めた。
君の身体は、熱い。
俺は。ごめん、と言った。
寝ている君に、ごめんと言った。
ごめん
ごめん
ごめん
涙が溢れてきた。
ごめん
ごめん
ごめん
君。寝ているはずの君が、俺を抱き締めてくれたような気がした。
気のせいだろうけど、でも、君は眠りながらまた泣いていた。
君の涙が俺の手の甲に落ちて滴るのを感じる。
俺は、君が大好きなんだ。
嘘じゃないんだ。
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