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出れない小箱

[808]  山田某  2009-05-22投稿

あんたならどうする?


午前2時。
俺はこのマンションに住む大学生だ。
あろうことかコンビニの帰りにエレベーターがとまりやがった。
信じられん。

「うそん・・・。」


とりあえず大きな声を出したり,
ジャンプしたりしてみた。
が,やはり結果は同じ。
ゆすっても叩いても,
色々階数ボタンを押してみてもやはりダメ。

すぐ帰るつもりだったので携帯も部屋。
「これしかないか・・。」
非常ボタンだ。



いや最初に押すべきやん!!!
そう思ったんだろ?
じゃあ逆にツッコむが,あんた非常ボタン押した事あるか?!?!


午前2時だよ!?
管理人も嫌な顔するし,ドアが開けば待つのは近所の人らの冷たい,
そして憐憫の眼差しよ!こちとら外見世間体が気になる思春期よ!?
無理だろ!!!!!



「うっ・・・!?」
突如襲いかかる腹への激痛。
当然これは大だ。
この状況で一番来ちゃいけねえ。
いや汚い話じゃない。
マジで緊迫した状況だ。

しかもエレベーターは時間と共に,どんどん蒸し暑くなる。
暑いから汗か我慢の冷や汗かよく分からないが,とにかくそれが目に入り,ますます不安定な状態だ。
このいたずら小箱ちゃんにはこれ以上付き合いきれない。




押す!
俺は押す!!!
押すぞぉぉぉぉ!!!!頭がおかしくなる前にな!!!


「ビーーーーッ」

・・・・・・


・・・・・・


『どうされました?』
可愛ッ!!!!
恐ろしく可愛い声が返ってきた。
管理人の娘か何かだろう。
この異次元小箱に閉じこめられてはや一時間半。トロけるような甘い声に俺は少し癒される。

しかし場合が場合。
それどころではない。
このエレベーターから出れるなら俺は恥も外見も捨てれる!!!!!
何ならこの不備なエレベーターについて文句言うたる!!!!!

「管理人さんいますか?」

『今いないんです。どうされました?』

「いやぁ何でもないんです。私としたことがつい間違えてしまって。
ハッハッハッ。」

『そうですか。』
プツッ・・・・・・ン。







俺が悪いんじゃない。
思春期が悪いんだ。

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