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航宙機動部隊前史後編・48

[613]  まっかつ改  2009-05-23投稿
だが、辺境問題自体は決して致命的な危険に至る物ではなかった。
中央域の実力は圧倒的であり、経済を中心に他を遥かに引き離していたからである。
新装相成ったクレジット公貨・ネット集合体・そして人類総会と、辺境には持ち得ず、経済では量れない《三種の神器》を手中にしている中央域は、引き続き文明の中枢であり続けるに不安は無かった。

更に銀河元号一八星紀からは、人口の爆発的な増加が始まった。
同一七00年には、それまでの一二00億人から一五00億人へ、一八00年には一挙に二五00億人にまで膨れ上がり、これが一九00年には推定四五00億人と、二百年の内に三倍と言う記録的な伸びを示したのだ。
大航宙植民―惑星入植政策の大勝利を証明したそれは象徴的な数値であった。

これに勢いを得た人類が、急速に居住領域を拡大して行くのは理の必然で、同元号二千年迄に、その足跡は早くも銀河の半分にも及んだ。

しかし、急速な拡大は裏で、幾つかの矛盾も産み出しはした。
先の辺境における大国群の出現もそうだが、より厄介な腫瘍も存在し、しかも少しずつ病巣の根を深く強固に張り巡らし続けていたのだ。
かの悪名高い星間諸侯―惑星開発が著しく困難だった時代に設けられた極度な優遇策を苗床とした憎むべき副産物―は、戦邦時代から大戦期にかけては集権型宙邦を中心に一転して迫害を受けて来たが、それが人類総会体制に入ってから再び息を吹き返したのだ。
何故ならギャームリーグと敵対したフリースユニオンの様に、伝統的に保守陣営側は諸侯を保護し、その力を利用して来たし、その流れを組む人類総会も、銀河元号一六三一年にナッシュビル宣言を発して彼等全員の大戦期以前の権益を回復・容認する事を誓ってしまったからだ。
更に、航宙大植民時代に置ける桁外れの経済拡大は、統制を外れた様々な裏業界の発生を促し、星間諸侯達は目敏くもそれ等のバックに収まり、新たなる資金源とするのに余念が無かったのだ。
こうして星間諸侯=裏業界=マフィアと言う祝福されざるトライアングルが出来てしまい、潤沢な資金で財政難な星系を情け容赦なく買収する《星上げ》を繰り返し、そこに統治者として自分達の子弟を送り込み、幾多の諸侯国を作り上げて行くのである。
特に彼等の若手《太子党》の横暴は、年を追う毎に酷くなって行った。

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