神の丘〜歩み〜?
グレイが青い炎を見つめ聞いた。
「なんです?」
「マリアの情報の一つに、“エレミヤ国教皇の息子の誘拐”とあるが、製鉄所で襲ってきた奴らの腕には、エレミヤ国の紋章の刻印があった。マリアを狙っているのではなく、自国の王子の命を狙っていた…むしろ、マリアが王子を守っていたように見えたが‥私はエレミヤ国からの依頼と聞いていましたが?」
「エレミヤ国の紋章!」
「・・・・!」
「・・・・」
四つの炎が揺れ動く。一瞬言葉の消えた空間に、青い炎の言葉が響きだす。
「‥製鉄所での惨劇の跡は、エレミヤ国の者が仕掛けたものだと?」
「ああ。マリアを追って、しばらくして製鉄所に戻ると、死体はものの見事に消えていた」
「死体とわっ!腕に紋章がある者は、教皇の側近の証。これは国際問題に成り兼ねんぞ!グレイ!」
黄色い炎の声が、荒立った。
「国際問題?この国で他国の者が暗殺行為を行う事自体が問題なのでは?それに自国の王子を狙ったという事実は隠したいもの‥」
「‥グレイの言うとうりだ。こちらが黙認していれば、我が国への制裁は無い」
口を閉ざしていた赤い炎が言った。
「第一後継者であった、クロム・ヴェルハウゼンの兄、“シアン・ヴェルハウゼン”の死因は、病死と発表されたが、一部では、“毒殺”されたという噂がある。詳しい情報は無いが、そのたぐいの話であろう」
「マリアとエレミヤ国の接点は?」
「“天の国の鍵”」
「天の国の鍵?」
「11年前、エレミヤの聖地と呼ばれる場所から、一人の美しい女性の死体が発見された。腐敗することもなく、生前の姿で ただ眠り続ける死体。不思議な事に、彼女には生きた痕跡が無かった。名も無い彼女は、“聖女マリア”と呼ばれ、ヴァディス宮殿内に立てられた礼拝堂の中で、今も美しい姿のまま、眠り続けている。“天の国の鍵”は、聖女の眠る棺の鍵だ」
「‥やはり“マリア”で繋がったか‥」
グレイの右手に持っていたジッポライターのふたを閉める音が、‘カチン’と一度鳴り響く。
つづく
「なんです?」
「マリアの情報の一つに、“エレミヤ国教皇の息子の誘拐”とあるが、製鉄所で襲ってきた奴らの腕には、エレミヤ国の紋章の刻印があった。マリアを狙っているのではなく、自国の王子の命を狙っていた…むしろ、マリアが王子を守っていたように見えたが‥私はエレミヤ国からの依頼と聞いていましたが?」
「エレミヤ国の紋章!」
「・・・・!」
「・・・・」
四つの炎が揺れ動く。一瞬言葉の消えた空間に、青い炎の言葉が響きだす。
「‥製鉄所での惨劇の跡は、エレミヤ国の者が仕掛けたものだと?」
「ああ。マリアを追って、しばらくして製鉄所に戻ると、死体はものの見事に消えていた」
「死体とわっ!腕に紋章がある者は、教皇の側近の証。これは国際問題に成り兼ねんぞ!グレイ!」
黄色い炎の声が、荒立った。
「国際問題?この国で他国の者が暗殺行為を行う事自体が問題なのでは?それに自国の王子を狙ったという事実は隠したいもの‥」
「‥グレイの言うとうりだ。こちらが黙認していれば、我が国への制裁は無い」
口を閉ざしていた赤い炎が言った。
「第一後継者であった、クロム・ヴェルハウゼンの兄、“シアン・ヴェルハウゼン”の死因は、病死と発表されたが、一部では、“毒殺”されたという噂がある。詳しい情報は無いが、そのたぐいの話であろう」
「マリアとエレミヤ国の接点は?」
「“天の国の鍵”」
「天の国の鍵?」
「11年前、エレミヤの聖地と呼ばれる場所から、一人の美しい女性の死体が発見された。腐敗することもなく、生前の姿で ただ眠り続ける死体。不思議な事に、彼女には生きた痕跡が無かった。名も無い彼女は、“聖女マリア”と呼ばれ、ヴァディス宮殿内に立てられた礼拝堂の中で、今も美しい姿のまま、眠り続けている。“天の国の鍵”は、聖女の眠る棺の鍵だ」
「‥やはり“マリア”で繋がったか‥」
グレイの右手に持っていたジッポライターのふたを閉める音が、‘カチン’と一度鳴り響く。
つづく
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