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DEEP☆RED 3

[250]  戒音  2009-05-24投稿
美しい歌声が聞こえ、フィーリア国王カノン=ヘファスは馬の歩みを止めた。
甘い香りが、風に運ばれて、カノンの胸は苦しくなる。
かつて愛した彼女に、よく似た香りだったのだから。
遠征帰りで、まだ甲冑を纏っていたカノンは、おもむろに甲冑を外し始める。
慌てたのは周囲の近衛兵達だ。
いくら領土内だからと言って、バレンツィエ城に着くまで油断は出来ないのだ。
甲冑を外し終えたカノンが馬から降りる。
近衛達は警戒しながらも、歩みを止めず、カノンに寄り添う。
近付くにつれ、歌声がはっきりと聞こえてくる。
それは神に捧げる歌だった。
カノンは懐かしさを思い出し、胸が締め付けられそうだ。
自分を庇ったばかりに命を落とした最愛の女性。
歌声が止むと同時に、少女と目が合う。
尋常ではない美貌の少女。
だか、彼女のドレスの刺繍に気付いたカノンは、表情を固くした。
「木蓮。カルディアのアルファリアか」
神が選びし選定者。
その強大な力に、人は恐れおののいていた。
特に彼女の力は秀でていたからである。
「何故、フィーリアの地にカルディア女王自らがいるのだ」

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