クレセント・ローズ 2
教室は紅蓮の炎に焼かれていた。
鞭が掠めた頬の傷を拭った花音は、不敵な笑みを浮かべた。
残酷な笑みが、彼を戒めから解き放つ。
「ふざけるなよ」
キッと睨み付けた途端、花音を中心に床の残骸が宙に浮き上がる。
俯く花音から沸き立つ魔力が、花音を無重力にしているのだ。美しい青銀の髪が舞い上がる。
「ふざけるなよ、最下級の分際で。お前が彼女に触れられるなど許さないッ!」
顔を上げたその刹那、膨大な魔力が開放される。
地這いの業火が、青色に染まる。
主導権は完全に花音が握っていた。
業火は見る間に逆流して、敵にめがけていく。
「ば、馬鹿な!」
彼は迫り来る業火になす術をもたない。
「花音ッ」
戒音の声に、正気を取り戻した花音が、慌てて炎の流れを消し去る。
油断した敵に、飛び出した戒音の刃が襲い来る。
「貴方は心配そうね?ディア」
「ごめんなさい。好きな人が出来てしまったの」
「ディアッ!」
襲い来る少女に、ディアは微笑んで両腕を広げた。
「おかえり、ローザ」
その瞬間、花音が叫んだ。
後一歩だった。
剣はディアの喉元寸前で、ピタリと止まった。
「愛しているよ」
ディアの指先が戒音の顎を捕らえ、唇が塞がれる。
怒り狂ったのは花音だ。
獅子の鋭い爪に背中を貫かれた無惨な身体を晒す戒音の手から、時雨刀が滑り落ちた。
「これは私の物だ」
戒音を抱き抱えたディアを前に、花音は舌打ちする。
無理矢理力を開放した余波で、花音は膝を着いた。
「彼女はお前のように汚れた異端などに似つかわしくない」
戒音を抱えたまま飛び去ったディアを、必死に追い掛けようとする花音の前に獅子が立ちはだかる。
花音は舌打ちして剣を構えた。
鞭が掠めた頬の傷を拭った花音は、不敵な笑みを浮かべた。
残酷な笑みが、彼を戒めから解き放つ。
「ふざけるなよ」
キッと睨み付けた途端、花音を中心に床の残骸が宙に浮き上がる。
俯く花音から沸き立つ魔力が、花音を無重力にしているのだ。美しい青銀の髪が舞い上がる。
「ふざけるなよ、最下級の分際で。お前が彼女に触れられるなど許さないッ!」
顔を上げたその刹那、膨大な魔力が開放される。
地這いの業火が、青色に染まる。
主導権は完全に花音が握っていた。
業火は見る間に逆流して、敵にめがけていく。
「ば、馬鹿な!」
彼は迫り来る業火になす術をもたない。
「花音ッ」
戒音の声に、正気を取り戻した花音が、慌てて炎の流れを消し去る。
油断した敵に、飛び出した戒音の刃が襲い来る。
「貴方は心配そうね?ディア」
「ごめんなさい。好きな人が出来てしまったの」
「ディアッ!」
襲い来る少女に、ディアは微笑んで両腕を広げた。
「おかえり、ローザ」
その瞬間、花音が叫んだ。
後一歩だった。
剣はディアの喉元寸前で、ピタリと止まった。
「愛しているよ」
ディアの指先が戒音の顎を捕らえ、唇が塞がれる。
怒り狂ったのは花音だ。
獅子の鋭い爪に背中を貫かれた無惨な身体を晒す戒音の手から、時雨刀が滑り落ちた。
「これは私の物だ」
戒音を抱き抱えたディアを前に、花音は舌打ちする。
無理矢理力を開放した余波で、花音は膝を着いた。
「彼女はお前のように汚れた異端などに似つかわしくない」
戒音を抱えたまま飛び去ったディアを、必死に追い掛けようとする花音の前に獅子が立ちはだかる。
花音は舌打ちして剣を構えた。
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