携帯小説!(PC版)

うそつき

[396]  拾諸填  2009-05-26投稿
人生は儚い。
「うそつき」
言葉を口にする。
喉がからからに渇いていた。
「お前はうそつきだ。俺より先に逝くなんて」
目頭が熱くなる。
『オレ、兄貴の最期、看とるから』
さっきそう言った弟の顔がまざまざと目の前に浮かんで見えた。
弟の死顔はとてもきれいだ。
まるで交通事故とは思えない。
「高橋さん。そろそろ病室に戻った方が」
看護師が心配して声をかけてくる。
末期がんで余命一ヶ月の俺より先に逝くなんて…。
人生というのはなんて儚い。

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