携帯小説!(PC版)

策略

[361]  のすけ  2009-05-27投稿
「恋愛…もうやだわ。」
ため息混じりに呟いた。雅が佳織に振られたのは3日前。共通の友人である祥子が心配して話を聞きに来た。
「そんなこと言わないの。」
元気づけたいが、月並みな言葉しか浮かばない。2人が座る微妙な距離が、一層言葉をかけづらくする。
「また、いい人見つかるって。」
何とか見つけて言った言葉は、見事に雅の痛みに刺さった。
「簡単にいうな!」
雅の剣幕に思わずたじろいた。
「すぐ、すぐに忘れられるわけないだろ!!」
「ごめん…。」
しかし、祥子の様子を見て一瞬で正気に戻った。
「いや、こっちこそ、ごめん。」
しばらく気まずい雰囲気が流れたが、祥子が口をひらいた。
「分からない。」
「何が?」
「雅を振った佳織の気持ち。」
「…。」
「雅はいい男だよ。すごく。」
「…。」
静かな時間が過ぎた後、雅が口を開いた。
「ありがと、な。」
「うん。」
「また、時間作れる?」
「え?」
「今度、どっか行かない?」
「あ…うん。」
「じゃ…。」

雅は恥ずかし気にかけていった。
祥子顔を赤らめ、うつむいた。

「作戦成功。」
しかし、その表情には、誰も見たことがない不気味な笑みが浮かんでいた。

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