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朝陽にあの花が咲く時 1

[464]  さきざき ひろ  2009-05-27投稿
自分の事で手一杯。
今の時代は不況で、少しでも気を抜いたら仕事を無くしてしまう。
給料も安いから食べて行く事が精一杯。

でも、嫌な仕事じぁないからやっていけてる。

大変だ!なんて言うわりには、みんな案外楽しそうに暮らしているみたいだけど、僕はそんな余裕は無い。
このまま代わり映えのしない生活が続くのかと思うと、ちょっとガッカリするけど仕方ない。

僕は27歳。
当然、彼女なんていないし、もし好きになった人がいても付き合っていくなんて余裕が無いから、多分このまま暫くは独りのままなんだろう。

毎日同じ事の繰り返しで、これと言って楽しい事も悲しい事も、敢えて言うような事がない日常だった。

そんなある日、職場からは少し遠くなるけど今までより家賃の安いアパートに引っ越す事にした。
ちょっと田舎。
通勤には時間がかかるけど、生活には少し余裕ができるから。

毎日、電車で…でもちょっとの時間うたた寝も出来て、苦にはならなかった。

それから半年、数週間前からいつも電車で一緒になる女性がいた。
23か24歳くらいに見える。綺麗だったから気になっていた。
だけど、僕となんて不釣り合いだし、もちろん100%どんなに考えても有り得ない事。
多分、彼氏がいるだろうし。

電車の中は始めは空いていて彼女を見る事が出来るけど、段々混んでくるといつの間にか降りちゃってるのか、ただ見つけられないのかわからないけど、そんな感じで日々が過ぎて行った。

まだその時は、
一生忘れられない事が起こるなんて思ってもいなかった。

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