雪だけの世界で2
お帰り。僕
その声は懐かしくも愛おしい。涙が溢れた。嬉しくて──
でも
「<僕>って誰!!」
目覚めの第一声。つたい落ちる涙と共に跳ね起きた。
いつの間にかベットの上。
目に写るのは見も知らない誰かの家。窓から外が見えた。
雪は無かった。
夢を、見ていた? そう思った時、部屋のドアが開いた。
「あっ目が覚めた?」
知らない女なの人。
「あの……あなたは? ここは? 僕はいったい……」
トコトコと部屋に入ると真っ白い長い髪の女が、ニコニコと笑いながら傍まで来た。
「お帰りなさい。ユキ」
あの夢の雪の中で言われた<お帰り>と同じように言われ、首筋に寒気が走った。
「お……帰り……? それに名前なんで之(ユキ)って知って……」
「えっそれはあなた雪(ユキ)でしょ? それにあなたを知らない町の人はいないわ。だってその顔」
女が話す途中、頭にドスッと重しがかかった。いきなりの事にまた心臓が跳ねる。
「お〜ま〜え、このバッカヤロ────!!!!」
耳元で大声で言われた。反射的に耳をふさいだ。それでもキーンと耳鳴りがした。もう何がなんだか、泣きたい気分だった。
「なっちょユキ! 初めて会うんでしょ? そんな」
「いいんだよ! こんな馬鹿、本当に馬鹿野郎なんだから!」
この声はあの時の、バッと顔を声の主に向けた。そこには仁王立ちした──
「なんで……僕が──」
同じ顔。髪の長さは違う。でもそれ以外は<同じ>だった。
「あぁ、当たり前。俺達同じ雪だし」
「同じ? 雪……?」
「あの雪を見ただろ? 俺達はあの<雪>から生まれた。そうだな言うなら双子?」
「雪……から? 何……言って……僕にはちゃんと家族が」
「へぇ親いたの?」
親は
「親はいない。……いな……い? で・でも兄はいた!!」
「それは本当の兄?」
同じ顔の奴が、顔を近付けてニヤッと笑いながら訊いて来た。目の前の同じ顔を見ながら、疑問が芽生えていた。
自分には両親はいない。いつから? いつ……から?
いつ……から……
いつから兄は<兄>だった?
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