時と空の唄14-3
薄暗い祭壇の間に金属のぶつかり合う鋭い音が響く。
「…くそっ
こいつ、なんかこないだより強くなってるぞっ」
ランスォールとラウフを相手に全く引けをとらないカロウド。
そんな彼を前にランスォールがぼやいた。
因みにランスォールの言うこないだとは機械都市サントラーセットでの事だ。
あの時はランスォールにコテンパンにされたのだが今はその気配すら見せない。
「行きます。二人とも離れて下さいっ!
『聖なる水よ 彼の者を喰らえ』!」
ランスォールとラウフがカロウドから飛び退くのと同時に雪が術を発動させる。
大量の水がカロウドを呑み込み、祭壇の方へと押し流した。
「…そっちは…っ!」
シーラが気付いた時は既に遅く、カロウドは祭壇の上にいた。
「くくくく…っ
これでお前たちも終わりだぁっ!」
「なっ…!?」
狂ったように笑ったカロウドはなんと、水溜まりに手を伸ばし、剣を引き抜いたのだ。
「神器を…装備だと!?」
「やめて父さんッ!
父さんの躯が壊れてしまうわッ!!」
シーラが必死に叫ぶがその叫びも虚しく、カロウドは剣を握った。
「大丈夫だシーラ。
傷は後で癒せばよい。」
微笑みながら言うカロウドは、不気味な程だった。
「父さん…」
見る間にカロウドは剣を手にラウフに襲いかかった。
暫くは攻撃を防いでいたラウフだがやがて剣の剣圧にはね飛ばされ、気を失った。
「ラウフさん!きゃあっ!」
声を上げた雪をもはね飛ばし、彼女はラウフの側で気を失った。
「ラウフ、雪ちゃんっ!
父さんもうやめてぇっ!」
「あと…ヒトリ。」
もう、
父さんは父さんじゃなくなっていた。
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