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金獅子の咆哮 1

[318]  戒音  2009-05-28投稿
男は鎖で拘束されていた。
まばゆいばかり金髪に紅い瞳。
顔は端麗だか、身体は鍛え上げられ、まるで伝説の闘神、オルガディートそのものだった。
その閉鎖空間の中で、彼は咆哮を上げた。
その咆哮で時限が歪むと、彼は歪みの中にその身を投じた。


巫女の菖蒲(あやめ)は、境内の掃除をやめて空を見上げた。
黒雲が渦を巻き、不吉な風が吹き込んでくる。
「来るッ!」
菖蒲は空から落下してくる金色の何かが、境内の敷地内に落ちるなり駆け出した。
現場には衝撃でえぐり取られた大地と、その中心には、全身に傷を負った、金色の獅子が横たわっていた。

丁寧に傷口を消毒して包帯を巻いていた菖蒲は、金獅子が目を覚ましている事に気付いた。
真紅の瞳には闘争心は感じられない。
「綺麗ね貴方」
縦髪を撫で付けると、心地良さそうに金獅子は目を細める。
「俺よりもお前の方が美しい」
金獅子が言葉を話しても、菖蒲は動揺しない。
「娘、男物の服はあるか」
「兄のがあります」
言うなり襖を開けて、隣の部屋で服を探している間に、見る間に金獅子は美貌の青年へと変じた。
戻った菖蒲は、全裸の青年の姿に顔を覆い隠す。
仕方なく立ち上がった青年は、菖蒲が落とした服をさっさと身につけて、長い髪を払った。
「もうよいぞ、娘」
言われて顔を上げた菖蒲は、あまりにも美形な彼の姿に見惚れてしまった。
「我が名はオルガディート。お前の名前は?」
「あ、菖蒲と申します」
その瞬間、オルガディートは菖蒲の手を引き寄せるなり、その唇を奪った。
そして不適な笑みを浮かべた。
「我れが同胞よ、聞くがいい。我は菖蒲なる者と契約した」
見えない呪縛の鎖が外れていく度に、力が湯水のようになだれ込んで来る。
そして戸惑う菖蒲を突然押し倒した。
「ちょっと、何して・・」
「血の契約だ。我と汝が契りを交わすのだ」
菖蒲が蒼白するのも無理は無かった。
「本体のままがよければそうするが、死ぬぞ?」
つまり逃げ場が菖蒲には残されていないのだ。
首筋を生暖かい舌が伝うと、嫌なのに甘い声が漏れた。
「感度がいいな」
次に衣を広げると、美しい肌が露出した。


次回予告 第二章 契 約

菖蒲を抱こうとするオルガディート。追っ手が迫る中で、彼は奇跡を目撃する。

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