悲しみは兆候もなくやって来る
じわりじわりと来てくれたら覚悟も出来た
音も無くやって来た終わり

日曜の朝に貴方からの電話
珍しさに嫌な予感は走る
電話越しに聞こえたのは貴方の声ではなかった
貴方の奥さんからの電話
内容はもう会わないで欲しいとの事
ついに来たかと思った
年齢や住んでる所
親と同居なのか
ただ素直に答える事しか出来ない
多分貴方は言い訳をしたんだろう
『どうゆうつもりですか』と聞かれた時に感じた
私が貴方を唆した
そんな感覚
『特に何も考えてません』と答えた私に『だったらもうまぎらわしい事はしないで欲しい』と言った
ただ謝った
貴方の声を聞く事もなく電話は切られた

状況が上手く掴めず暫く一点を眺めた
『終わった』とやっと飲み込んだ時涙は溢れた
声を殺して泣いた

家にいる事も出来ず外へ飛び出した
選んだのは以前貴方と来た公園
涙は止まらない
此処で貴方と並んで座った
貴方と手を繋いだ
貴方に抱き締められた
貴方とキスをした
貴方と言葉を交わした
今私は本当に一人

明日からどうしよう
指輪は返そう
貴方とちゃんと話せるだろうか
次々に込み上げる現実
辛過ぎて苦し過ぎて目の前が暗くなり
未来は閉ざされる

貴方が見せてくれたのはこんなにも悲しい未来
もう触れる事も許されない
貴方も終わりを覚悟したのだろうか
今何を思っている

忘れるには時間がかかる今は泣く事しか出来ない先の事なんて分からないだからただ懐かしい場所で数々の思い出を噛み締めて泣く

吐き気がするほど現実的なこの世界より
この人の目の中で生きたかった

こんなにも暖かくて雲一つ無い空
だけど私の心はぽっかりと穴が空き
冷たく熱を奪われる

真夏に降る雪
例えるならそんな感じだろうか

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