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私は悪くない2

[237]  今井将磨  2009-05-31投稿
信子は出世したとは言っても、実力ではない。

こまが空いたからだ。

できる上司が定年した。

こまが空いた。

若い男性社員が上司になった。

しかし潰した。

「私が悪いんですか?」

仕事ができないわけでもない信子は取締役たちに、毎日のように若い上司のミスを伝え続けた。

ついに部長に信子が選ばれた。

信子は有頂天だった。

ついに自分の実力が認められたと思ったからだ。

実際はこうだ。

「あの、ばあさんは安い。後三年で必ずやめる。

あの、ばあさんを今更動かす部署なんてないだろう。

かと言って、新人をまた入れたら、いびられて、折角の新人をダメにしてしまう。

ここはどうだ?

あのばあさんに部長をやらせてみよう。

もしなんとなく三年が過ぎたら、おめでとうとでも言って、

おくりだせばいい。

何か重大なミスをしたら首を切ればいい。」

信子は威厳を保つことに勢力的だ。

新人は毎日注意する。

褒めることはない。

私は悪くないのだから。

部下には気にいられていると思う。

私を認めている部下は認める価値がある。

そうでない部下は飛ばした。

私は悪くないのだから。

生活、仕事、すべてにおいて、パーフェクトだと信子は思うのだ。

だが、ふと何もない空間に閉じ込められたような息苦しさを覚える。

でもたぶん疲れているのだと受け流す。

私は悪くないのだから。

私は悪くないのだから。

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