3パーセントの愛(5)
ワタシは空を見あげて、おもいっきりため息をついた。
「ぷは〜。寒っ。」
フラつく頭に心地よさとイラ立ちを感じながら、振り袖をなびかせてロヨロと歩く。
ひとりになると、考えてしまう。
どうして人を好きになれないのか?
それは自分が愛された記憶がないから。
上っ面の付き合いでなんとかなったし、これからもそれでやっていけると思う。
なんか無性にさみしくて、ケータイに手を伸ばしたその時。
急に吐き気が襲ってきた。
急いで道端にしゃがみこんで覚悟を決める。
「うっ・・・っ。」
めでたく、お祝いで頂いた食事とアルコールを全て吐き出した。
「おえ〜。最悪・・・。」
またすぐ波が襲ってくるような気がして、しゃがみこんだままサナギのようにじっとしていた。
・・・ポツ・・・ポツ・・・ポツ・・ポツポツポツ・・・ザーッ
「っ最悪。雨だ・・・っ。」
ついてないなあ。
これじゃドラマのワンシーンより悲惨だよ。
ワタシって今すごくかわいそうじゃない?
ハタチのお祝いの日に、真っ赤な振り袖着て道端で吐いて、雨に打たれて、おまけにひとりぼっち。
なんだか今までの人間関係が浮き彫りになった気がして、泣けてきた。
ワタシはひとりぼっち。
嗚咽と涙が止まらなくて、胸がきゅーって苦しい。
苦しい。
もうだめ・・・誰か、誰か助けて。
「・・・あのー、大丈夫ですか?」
若い男の声にギクッとする。
顔をあげずに目線を足元にやると、だぼっとしたグレーのスーツにヴィトンの革靴。
「大丈夫?」
若い男は心配と興味の表情を浮かべて、正気に戻ったワタシの横にしゃがみこんだ。
「大丈夫です、ありがとう。」
なるべく目線を合わせないようにしてサッと答えた。
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