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兎飴と白雪の風

[154]  ジョー  2009-06-04投稿
月の晩
思い出すのは
幸せだったあの頃

いつものように細い路地を駆けていった。貰ったばかりのお小遣いを握り、いつもの飴屋へ急ぐ。かわいい着物の裾が楽しげに揺れる。

「みーちゃん今日は何にする?」
「真っ赤な飴と青い飴!」
「そうかい。それじゃあ、包んであげるから諷太郎と遊んでおいで。」


優しい夜はもうこないらしい。夢は見るほどに苦しんだ。

だからこんなとこにまだいる私は帰り道を忘れた。

そう、もう戻れないという。

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