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麗しの茨姫(NOAH)2

[376]  戒音  2009-06-07投稿
「被験者か」
装備ですぐにわかった。
最初の六人の実験体の一人、ジュダ。
「レベル1にしては、ちょっと詳し過ぎないかな?」
殺気を放つジュダに、僕は笑みを浮かべた。
「大人しくしているつもりだったけど、まぁいいや」
足元に紅い魔法陣が浮かぶと、僕の設定が大幅に変更されてゆく。
見る間に変貌した魔剣士の、それもオリジナルの姿に。
「何物だ、お前!」
「箱舟に招かざる者。デュオ」
名前を聞いた途端、相手は恐怖にその顔を歪めた。
「NOAHS・ARK」
迫り来たデュオの一閃が、ジュダのキャラは粒子に、消失する。
彼のデータは改ざんしていないので、明日には復帰出来るだろう。
デュオのデータが初期化するなり、膝をつく。
ややバグが発生して負荷が掛かったのだ。
「奴じゃなかった。一体誰が天の鍵なんだ!」
デュオの咆哮が辺りに響き渡った。


久々のログインに、海斗は胸を踊らせる。
半年も海外暮らしで、NOAHに接続していなかったのだ。
早速シュミレーターに入ろうとした海斗は、最新版に感動する。
「流石、NOAHコーポレーション!すっかり旧型のままだと思っていたのに」
「海斗様。この度は我が社NOAHをご利用頂き、誠にありがとうございます。利用に関して幾つかの注意点がございます。七人目の適確者が、オリジナル選抜者に対し、狙っております。どうやら相手は・・」
「NOAHS・ARKか。俺の心配ならいらないよ」
言うなり、ログインのスタンバイに入った海斗が、眉をひそめる。
「この数値おかし・・」
言い切る前にNOAHに落ちた海斗の視界に、光が飛び込む。
次の瞬間、海斗は来た事もないダンジョンに飛び込む羽目になった。
真っ白で巨大な神殿。
不可侵と言わんばかりに絡み付く茨。
プレイヤーすら誰もいない。
海斗が先に進むために扉に手を当てた瞬間、茨が一斉に扉から退いてゆく。
「なんなんだここは」
進むにつれ、冷気が漂う。
最後の扉を開け放った瞬間、海斗は我が目を疑った。
そこには、茨に戒められた世にも美しい美女が囚われていた。
「嘘だろ・・紅蓮の魔剣士」
何故行方をくらました彼女がいるのか、何も知らない海斗が、慌てて近づく。
途端、茨の拘束から解き放たれて落下した彼女を、慌てて受け止めた。

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