麗しの茨姫(NOAH)3
華奢な身体に纏うのは甲冑ではなく、白いレースのドレス。
白い肌と同化しそうな程美しい銀色の髪。
とっさに受け止めた海斗は、次の瞬間、その目を奪われた。
見開かれたエメラルドの双眸に。
初めて見た瞬間、紅蓮の魔剣士だと思ったのも無理は無い。
しかし彼女の気丈さも瞳の色も、よく見れば顔の造りも似ていた。
「海斗」
甘い声が海斗の名を呼ぶ。
「どうして俺の名前を知っているんだ」
海斗は冷静だ。
もっともな質問だった。
「貴方なら私を解放してくれると、ずっと待っていたわ」
「んッ」
突然、唇を重ねられた海斗のプレイヤーキャラに、一瞬バグが発生した。
バグは全身を駆け抜けると、海斗の銀色の瞳に刻印を刻み込む。
「なッ、何なんだアンタ!」
刻印に気付かない海斗は、彼女を突き放す。
自分で立ち上がった彼女に、海斗は睨み付ける。
「私は百合亜。眠りから目覚めし者。八人目の選定者」
百合亜は極上の笑みを浮かべる。
「俺の知る限りじゃ、選抜されたのは六人のはずだ」
「そう。選ばれたのは六人だけ。私は最初の根源にして、始まりの者。そして世界に終焉をもたらす者。アダムにしてイヴ」
ゆっくりと海斗に近づいた百合亜は、その頬に指先で触れた。
「貴方なら、私をこの牢獄から出してくれる。きっと」
それは確信。
「残念だが、文字化けで君の会話が見れないんだけどさ」
「紅蓮の魔剣士は死んだ」
はっきりとした言葉が、海斗を貫く。
「何故・・そんな事がアンタにわかる」
「この世界の創世者が、私だからよ。木月海斗」
「ッ!」
NOAHから強制離脱させられた海斗が、現実を認識するまで時間が掛かった。
けたたましいアラームの音と、駆け付ける係員。
カプセルの非常灯が赤く点滅する中で、海斗は自らの力で身を起こした。
NOAHでの出来事は、これから起こる惨劇のきっかけになるなど、誰がその時、気付いただろう?
俺達の戦いの始まりの原点を。
リアリティと言う、本当の意味を。
白い肌と同化しそうな程美しい銀色の髪。
とっさに受け止めた海斗は、次の瞬間、その目を奪われた。
見開かれたエメラルドの双眸に。
初めて見た瞬間、紅蓮の魔剣士だと思ったのも無理は無い。
しかし彼女の気丈さも瞳の色も、よく見れば顔の造りも似ていた。
「海斗」
甘い声が海斗の名を呼ぶ。
「どうして俺の名前を知っているんだ」
海斗は冷静だ。
もっともな質問だった。
「貴方なら私を解放してくれると、ずっと待っていたわ」
「んッ」
突然、唇を重ねられた海斗のプレイヤーキャラに、一瞬バグが発生した。
バグは全身を駆け抜けると、海斗の銀色の瞳に刻印を刻み込む。
「なッ、何なんだアンタ!」
刻印に気付かない海斗は、彼女を突き放す。
自分で立ち上がった彼女に、海斗は睨み付ける。
「私は百合亜。眠りから目覚めし者。八人目の選定者」
百合亜は極上の笑みを浮かべる。
「俺の知る限りじゃ、選抜されたのは六人のはずだ」
「そう。選ばれたのは六人だけ。私は最初の根源にして、始まりの者。そして世界に終焉をもたらす者。アダムにしてイヴ」
ゆっくりと海斗に近づいた百合亜は、その頬に指先で触れた。
「貴方なら、私をこの牢獄から出してくれる。きっと」
それは確信。
「残念だが、文字化けで君の会話が見れないんだけどさ」
「紅蓮の魔剣士は死んだ」
はっきりとした言葉が、海斗を貫く。
「何故・・そんな事がアンタにわかる」
「この世界の創世者が、私だからよ。木月海斗」
「ッ!」
NOAHから強制離脱させられた海斗が、現実を認識するまで時間が掛かった。
けたたましいアラームの音と、駆け付ける係員。
カプセルの非常灯が赤く点滅する中で、海斗は自らの力で身を起こした。
NOAHでの出来事は、これから起こる惨劇のきっかけになるなど、誰がその時、気付いただろう?
俺達の戦いの始まりの原点を。
リアリティと言う、本当の意味を。
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