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汚染 148

[106]  ふく  2009-06-07投稿
帰り際
貴方を引き止めた
『少しだけ話して帰ろう』と

缶コーヒーを一つだけ買っていつもとは違う公園に座った
『雨降りそうだね』
そう言って見上げる空は厚い雲で覆われていた

呼び止めたのは何か話があったからじゃない
こうして貴方といられるのも
隣に座れるのも
片手で数え切れる程度しか残されていない様な気がして
本当の終わりが近付いている様な気がしたから

何となく元気がない貴方が悲しかった
『付き合ってもらってごめんね、十分だけでもいいから』
そう言うと貴方は力無く笑った

手を繋いで並んで座っているんだけど
一緒にそこにいるのに感じる孤独
貴方が何を考えているのか分からずに
私が今何を貴方に言えばいいのかも分からずにまた泣いた

最近泣いてばかり
一度貴方に涙を見せてしまうと目の前で泣かない様にと我慢して来た物が完全に壊れてしまう
そうして貴方を困らせてばかりいるのだろう

貴方が私の肩を抱いて頭を撫でる
何度もしてくれた事
なのに何故か胸が引き裂かれそうな想い

『いつかは離れないといけない』
零れた言葉は終わりを感じさせる物だった
『そんな事は考えないで』と貴方が悲しげな表情を見せた

安心感を忘れた
貴方といると不安で埋め尽くされる
だったらどうして引き止めたりなんかしたのだろう
一人で感じる孤独の方がずっと楽なのに

寄せ合う体で感じた貴方の携帯のバイブ
『携帯鳴ってるよ』
『いいよ、気にしなくて』
『駄目よ、出て』
『大丈夫』

『帰してあげなきゃ』
体を離して笑った
懸命に笑顔を作った
振り返らない
貴方がちゃんと家に帰れる様に
私はまた涙が止まらなくなってしまっているから

引き離され様とすればする程に惹かれ合い
惹かれ合う程に孤独を覚える
強く繋がろうとすればする程に脆くはかない絆

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