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My Dust Memory 1

[416]  戒音  2009-06-08投稿
「瀬条花音、17歳か。彼にしては大胆な行動に出たものだね」
投げ渡された書類の写真を一瞥して、男は口の端を吊り上げる。
「これが伝説の闘神か」


校門を潜ると、文化祭が目前に迫った生徒達がメインの神輿の骨組みを作っている。
今日は委員会や部活の打ち合わせが予定されている戒音は、慌ただしく校舎の方に駆け込んだ。
校舎に入るなり、黄色い悲鳴が飛び交う女子に遭遇した戒音は、眉をひそめた。
最近、二学年に転入して来たとかいう生徒の話は、今やどこでも耳にする。
こんな時期に転入しなくても、というのが戒音の本心だ。
恋愛経験の無い戒音にとって、関係の無い話だ。
下駄箱を開けた戒音の上履きには、二通の手紙が置いてあった。
戒音は決してモテない訳ではない。
寧ろその逆だ。
大和撫子と言われても、嫌味にならない。
上履きを取った戒音は、手紙に目もくれず、下駄箱を閉めた。

放課後になると、文化祭実行委員で使う書類を両手に抱えて、職員玄関の隣に位置する職員室に運ぶ所で、危なっかしく階段を降りて、職員室のドアをノックする寸前に事件は起きた。
外の大掛かりな神輿を作っていた生徒一同が悲鳴を上げた。
その時、突然誰かに体当たりされて伏せられた戒音に、鉄製の神輿が倒れて、職員玄関を突き抜けた。
慌てて職員室から飛び出す教師の中、戒音は自分を庇って覆い被さった人物に、初めて目を合わせて、一瞬だけ驚く。
何故なら、どう見ても日本人離れした、端麗な顔立ちの少年の顔が目前にあったからだ。
「大丈夫?」
初めて声を掛けられて、戒音は赤面して頷く。
「良かった」
にっこりと少年は微笑む。
そんな彼の左手首を伝い、赤い鮮血が床に落ちる。
「大変、保健室に。私、委員長なので部屋の鍵持っていますから」
「じゃあ、お言葉に甘えるよ」
「そうして下さい」
散らばった書類を諦めて、保健室の鍵を開けた。
保健室に入ると、消毒液の香りが部屋中を包む。
「先輩、ここに座って下さい」
彼が話題の転入生である事は、とっくに解っていた。
「破片が。少し痛みますよ?」
制服の上から刺さった、少し大きめの破片を抜くと、鮮血が溢れ出す。
それを止血して、消毒していく。
「手際いいね」
「一応、保健委員長ですから」
包帯を巻き終えると、戒音は頭を下げた。

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