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君からの手紙〜30〜

[489]  YOSI  2009-06-09投稿
「お待たせしてすみません」
約束の時間より、10分遅れたことを嶋野に詫びた勇一は、相席している女性に気づいた。
「はじめまして、森田と申します」
「こちらこそ、はじめまして。荒木と申します」
少し間をおいて、嶋野が切りだした。
「荒木さん、彼女…森田さんなんですが、私の同僚です。
実は、偶然とゆうか…私と同じ目的で東京に来たんです」
「同じ目的?」
「ええ…」
紀子が切りだした
「突然すみませんです。実は私…2年前まで、近くの病院で、看護士をしてたんです。ガン病棟で…その時担当した最後の患者さんに手紙を託されたんです」 「2年たったら、彼女に渡してくれと頼まれましたか?」
勇一の言ったことが、そのままなので、紀子は少し驚いたが、嶋野から勇一とのやりとりを聞いていたので、納得した
勇一は、敢えて聞きにくい質問をしてみた。
「あの…少し聞きにくいんですが、看護士を辞められた理由は?あっ!答えにくかったらいいですよ」
紀子は首を横に振った。
「いえ…辞める時は、凄く迷ったんですよ…。ただ、きっとその人の情熱とゆうか、人柄にひかれてたんだと思います。私もいろいろ考えて、辞めたんです」
「そうですか…でも2年の空白、託された手紙を渡すのは勇気いりますよね?きっと…」
紀子は 、大きく頷いた。
「私、知っておきたかったんです。約束の年月がきて、渡す側と、渡される側の気持ちを…神様が…いえ、私に手紙を託した彼がくれた奇跡かも…」
奇跡?確かにそうかもしれない。
だが、勇一や、紀子、嶋野、そして紀子がこれから手紙を渡そうとしている相手…立場は違えど、辛かったし複雑な思いもあったろう。
だが、由美や奥村も年数は違うが、いろいろな思いがあって、手紙を託したに違いない。
「そうかもしれないですね。確かに奇跡かも…」
「ところで…嶋野さん、ちょっと聞きたいんですが…」
「はい…なんでょうか?」
「由美の手紙なんですが、その中の、ある言葉とゆうか、キーワードなんですが、何か聞いてないかなと…」
「キーワード?どんな言葉でしょうか?」
勇一は、由美の手紙にあった、ある言葉を、嶋野にぶつけてみた。

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