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暁の剣 11

[462]  朝倉令  2006-07-17投稿


「よぉ、爺さん! チョイと待ってくんな」



二本差し(大小の刀を差している事)の身なりも悪くない侍の口から出たのは、武州辺りで使われるべらんめえ口調。


伍助もこれには意表をつかれ、何の手立てもないまま素直に従っていた。



「お武家はン、干物をお求めで?」



しかし、そこは年の功。


伍助はいささかも慌てた気ぶりを見せず、あくまでも乾物売りで通す事にした。


「何ィ? 俺をそこらの阿呆侍と同類だと思ってやがんな、このジジイ!

いいから、兵庫の野郎がくたばっちゃいねぇのかどうかとっとと吐きやがれ!」



ポンポンと小気味よくまくしたてる言葉を耳にして、伍助は武士が誰なのかにようやく思い当たった。






「テメエ、生きてんなら便り位よこしやがれ!
こ〜のトーヘンボク!」


「そう申すお主こそ、行方知れずだったであろう?

所在が知れねば便りの送りようがござらん」


「まァ、違ぇねぇ。

ただよォ、知らねえうちに妹がおっ死んじまったのは、ずんと身にこたえたぜ」



「……済まぬ」


「馬鹿野郎、お前のせいじゃあ無ぇだろが兵庫」



立川右京は、結城兵庫ノ介の義兄であった。


当然、伍助とも面識はあったが、右京の羽振りが良すぎたため、網笠で顔が隠れると気付かなかったという次第。




「ところで、噂じゃ百人ばかりと合戦おっ始めるそうだな。

俺も身内として一枚噛んでも構わねえだろ?」


「はは、噂にのぼると数も五倍になるらしい。

義兄上(あにうえ)の気持ちだけ有り難く頂戴いたそう」



兵庫ノ介は、このやたら喧嘩っ早い義兄に実情を話し、計略の内容を告げた。



「ほほぉ、…そいつぁ剣呑至極(物騒な事)だな。

俺はそんなんでとばっちり食らうのはゴメンだぜ」



意外にアッサリと引き下がった右京。


短気者だけあって、決断も滅法早い。






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