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真実 19

[297]  彰子  2009-06-13投稿
 淳が新しく借りた部屋の鍵は美佐が合鍵を作り、彼のいない時間を狙って、管理していた。電話、テレビと至るところに盗聴器を仕掛け、いつでも部屋であった事を盗聴できるようにしてあったはずだった。
 が、着替えは適当に洗濯機に入ってるものの、何かが足りない気がした。
 淳は亜子の新しい家で一緒に寝起きをしていた。
 まだちゃんと離婚問題が片付いていない今、平日以外は話を進める為と、子供の為に美佐の元へ帰っていた。
 完全な二重生活…。
 淳は悩んでいた。が、美佐の元へ帰った時も話は進んでいなかった。彼女の機嫌を見て、話をする事からも逃げた。先が見えないのは当たり前だった。結局美佐に離婚を決定付ければ、普段自分が使う金ももっと制限される…。ガソリン代に昼食の金。後は亜子が生活している中での話だから金は渡していない。亜子も特に要求しない。
 いい事にしている訳ではないが、美佐に金が足りないと言えば、必要以上に自分自身が管理される。今は亜子との生活を楽しみたかった。
 美佐は会社から子供が寝る前に必ず淳が家に子供へ連絡が来る事には少し安心していたが、母親と子供が寝た後の時間になると、必ず淳へ連絡が取れなくなっている事に腹を立て、車を飛ばして淳の部屋に行ってみるものの、淳の部屋は誰もいない。しかも日増しに生活感がない。
 休みで淳が戻れば責めたてたが、淳は取り合おうとしない。苛々だけが残った。
 美佐が亜子の事を「どうせ金目当てだから。」とかしか言われるのが嫌で亜子とは別れた事になっていたのだ。
 淳は一人追い詰まっていた…。ちゃんとしなければ、美佐との生活を精算しなければ。
 亜子が引っ越しして2ヶ月が経った頃、亜子は体調の悪さを訴えるようになった。妊娠だった。
 淳は自分がそうした事を改めて思い出した。と同時に更に追い詰まってしまった。早くしなければ…早く…  …  …。

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