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ねぇ…大好きなのに。

[561]  春樹  2009-06-14投稿
電話越しに聞こえる春樹の声。

私と春樹が逢う様になってから一ヶ月位経っていた。

私は、毎日春樹の声を聞く度に嬉しくなり、幸せな気持ちになっていた。

でも、その電話は春樹が私に別れを告げる最後の電話だった。

「もう、逢うのやめよっか?」

春樹はそう言った。

そんな言葉を口に出来た春樹の気持ちは、きっと私より軽かったと、そう思った。

「いいよ」

私には平気な振りをする癖があった。

春樹に伝えたい気持ちも、言葉も沢山あった。

【どうして?亜弥が好きって思ってくれてたんじゃないの?ヤダよ。本当にもう逢えなくなっちゃうかもしれないんだよ。】

そう言いたかった。

でも、言えなかった。

その電話を最後に、春樹からの連絡は途絶えた。

私も春樹が今の彼女との、これからを考えてるなら、連絡するのは止めようと、自分の気持ちを心の奥に押し込んだ。

【これで良かった】

【こうするしか無かった】

【始めから、結末は決まっていた】

【だから、亜弥は大丈夫。】

そうして私は、春樹を想う自分の気持ちから、逃げ続けた。

その時から、逃げ切れない事にも、気付いていた。

春樹と逢えなくなってから三ヶ月後。

私は彼氏とも別れた。

別れを告げたのは、私だった。

この三ヶ月間私は彼氏に、春樹の話ばかりしていた。

その頃の私に、違う人の気持ちなんていらなかった。

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