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ハーフムーン (42)

[774]  2009-06-15投稿
亀山の後ろについて歩いたマモルとミユキは、緩やかに生い繁る木立の間を抜けると、再び広い砂浜へと出た。

砂浜は先程と同様にガランとした場所であったが、唯一異なる点は、波打ち際のすぐそばに、小さな小屋が3つ並んで建っていることだった。

「アレは…何ですか?」
ミユキが聞いた。

「えぇアレは、ほったて小屋…じゃなくて、日本風に言えば“海の家”みたいなもんです」
亀山はそう答えた。

3人が小屋のすぐ近くまで来ると、それらが何であるか、次第に分かった。

「これは、海の家“みたいなもの”では無くて、海の家そのものでしょう?」
珍しくマモルが丁寧な口調で亀山に聞いた。

「いや、海の家はあくまで日本での呼び名であって、海外では“海の家”とは呼びません」
亀山も負けずに言い切る。

「外国では“海の家”のこと、何て言うんですか?」
ミユキが亀山に尋ねた。

「え〜と、それは…マリン…ハウス…いや、ビーチ…ホームでなくて…」
亀山は返事に窮する。

「ヘィ、らっしゃいらっしゃい、ここは海の家だよ!美味しいラーメン食べてって!」
その時、一番手前の小屋にいる男が、突然3人に呼び掛けた。

そこに立っていたのは、思いもかけぬ男だった。

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