汚染 153
久々に貴方から聞いた
『朝まで一緒にいて』という台詞
映画を観てご飯を食べて遅い時間になった
だけど貴方の奥さんから電話があった日を境に一緒に食事に行っても
貴方は早く帰る様になったし
貴方は気付かれない様にしているつもりでも
時計を気にしている仕草が目についた
だから諦めていた
もう二度と二人で朝を迎える事などないのだろうと
この日
食事中に私は何度も時計を見た
終電の時間が近付く
でも貴方は気にする風でもなかった
だから敢えて私も時間は口にしなかった
終電を逃せば私は一人で何処かのビジネスホテルにでも泊まればいい
もしも貴方が一緒に朝までいてと言うなら私は躊躇わない
そう決めていた
店を出て手を繋いで歩く
何も言わない
後は貴方に任せようと思ったから
本当は怖かった
駅に向かうのが
本当は貴方に言って欲しかった
祈る様にただ手を握った
『ねぇ』
私を抱き締めて貴方が先に口を開いた
見上げて貴方の言葉をじっと待った
『朝まで一緒にいて』
その言葉がどんなに嬉しかったか
その台詞を聞く日はもう来ないと思った悲しみを貴方が消し去ってくれる
高ぶる想いを素直に伝えたかった
でも出来なかった
泣きそうになる思いを堪えて少し悩む振りをした
本当はすぐにでも頷きたかった
『いいよ』
私の言葉に貴方は喜んだ
『ありがとう』と言った
本当は私が言うべきだったのかもしれない
貴方に『ありがとう』を
まだ終わりではないと
貴方がこうして私を繋ぎ止めていてくれるから
だから
貴方がその言葉を口にする一秒前よりも
もっと貴方を好きになっている
『朝まで一緒にいて』という台詞
映画を観てご飯を食べて遅い時間になった
だけど貴方の奥さんから電話があった日を境に一緒に食事に行っても
貴方は早く帰る様になったし
貴方は気付かれない様にしているつもりでも
時計を気にしている仕草が目についた
だから諦めていた
もう二度と二人で朝を迎える事などないのだろうと
この日
食事中に私は何度も時計を見た
終電の時間が近付く
でも貴方は気にする風でもなかった
だから敢えて私も時間は口にしなかった
終電を逃せば私は一人で何処かのビジネスホテルにでも泊まればいい
もしも貴方が一緒に朝までいてと言うなら私は躊躇わない
そう決めていた
店を出て手を繋いで歩く
何も言わない
後は貴方に任せようと思ったから
本当は怖かった
駅に向かうのが
本当は貴方に言って欲しかった
祈る様にただ手を握った
『ねぇ』
私を抱き締めて貴方が先に口を開いた
見上げて貴方の言葉をじっと待った
『朝まで一緒にいて』
その言葉がどんなに嬉しかったか
その台詞を聞く日はもう来ないと思った悲しみを貴方が消し去ってくれる
高ぶる想いを素直に伝えたかった
でも出来なかった
泣きそうになる思いを堪えて少し悩む振りをした
本当はすぐにでも頷きたかった
『いいよ』
私の言葉に貴方は喜んだ
『ありがとう』と言った
本当は私が言うべきだったのかもしれない
貴方に『ありがとう』を
まだ終わりではないと
貴方がこうして私を繋ぎ止めていてくれるから
だから
貴方がその言葉を口にする一秒前よりも
もっと貴方を好きになっている
感想
感想はありません。