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秘密の両手?

[540]  七海  2005-11-17投稿
翔太を見つけることなんて簡単。ただ、翔太の空気を破るのが怖い…。
『…翔太、何してるの?薫さん心配してるよ。』『……。』『なんかあった?…ギターも弾かないでここに居るなんて…』『なんでもない。帰るぞ。』━━手を引こうとした。『…翔太、いつもそうだね。人の中にはすぐ入って来ようとするのに…私のことは入れてくれないの?そんな泣きそうな顔してるのに、帰れる訳ないよ。』『……はぁ……アイツ…本当は薬やってたんだって。それで、この前入院してたみたいで。今日、久しぶりに行ってやったっけ、いなくてさ。退院したんだと思ったんだけど死んでた…。』
━━初めて見た…。翔太が泣いてる姿。すごくキレイで、子供みたいで、抱き締めてあげたくて…。大きい体が小さく感じて。震えてる体を見ると自分も泣きそうで。震えてる声を聞くと泪が溢れそうだった。
『大丈夫。ずっと一緒にいてあげるから。取り合えず、お母さんに連絡してくるね。』『行かなくていい。』『…なんで?心配してるよ?…まだ、帰りたくない?』━━頷いた気がした。『どっか行こうか。電話だけしとくね。』
薫さんは何も言わなくて、ただ、「翔太のこて頼むね。」とだけ言った。
あてもなく歩いて、何も言わないでただ、ただ、手を繋いで歩き続けた。気付いた時には一日が終ってて、帰るに帰れない私達は、ラブホに入った。
━━部屋に入って、少しして電気を消して…翔太が服を脱がそうとした。
『まだ怖い?』『…大丈夫。いいよ。翔太のこと好きだから…。』━━怖くないはずなのに体が震える。『…ごめん。俺、間違ってる。…お前のこと傷付け様としてる。』『翔太?いいよ…大丈夫だから…』『嫌。俺がダメ。…一緒に寝て?』『…うん。もちろん。』━━そう言うとすぐに、翔太は私の腕をきつく握って寝た。泣き疲れたんだね。
ねぇ、気付いてる?もう、翔太がいない世界では生きて行けないこと。

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