携帯小説!(PC版)

トップページ >> その他 >> 暁の剣 12

暁の剣 12

[442]  朝倉令  2006-07-18投稿


「ちょいと小耳に挟んだ話だけどな」



ふらりといずこともなく出掛けていた結城兵庫ノ介の義兄、立川右京が思いがけない情報を仕入れてきた。


「あの平間って野郎は、おめえの事を仇(かたき)だと息まいてるみてぇだぜ?
事によると、平松玄斎の舎弟ってェのもあり得るな」

「ふぅむ、…なるほど。
それがしを討つための人数にござったか」


「おおよ、おそらく平間元次郎てェのは変名で、平松の身内だァな」



兵庫ノ介は、右京と出会った若かりし頃を思い出していた。







『おお? …何だテメエ!俺様の真似なんぞしやがってこの野郎!』


『そこもとの真似にはござらん。 兵法者はいずれもかような物にござるよ』


『やっかましいやいっ!』


奇しくも、二人は黒染めの袖無し羽織に伊賀袴。

 皮巻きの柄に鉄拵え(てつごしらえ)の太刀を背負い、兜割り(十手に似た武器)を帯にたばさんでいた。


まさにうり二つの出で立ちである。



しばし睨み合った後、どちらともなく笑いだした二人はここで意気投合し、武州まで連れ立って旅をする事になる。





「確か、三河辺りの旅籠(はたご/旅館)で平松玄斎が絡んできやがったよな」


「いかにも。 義兄上は災難にござった」


「同じ格好風体のおめえを見て魂消(たまげ)た玄斎のやつ、あっさりと兵庫に片付けられたんだったよな?」


「すくみの術の弱みは、そこにござるでな」



いつの間にやら思い出話に花が咲いていた。



「ときに義兄上、その話はいかにして聞き申した?」


右京は悪タレ小僧の笑みを満面に浮かべた。



「決まってらァな。
小生意気な浪人に喧嘩ふっかけて、ゲンコツで優しゅう尋ねてやったのよ」


「…あい分かり申した」


「何だよ兵庫、何笑ってんだ?」



相も変わらず血の気の多い右京に、兵庫ノ介は思わず笑いが込み上げていた。




ちなみに、立川右京は和術(やわらじゅつ)の達人である。






感想

感想はありません。

「 朝倉令 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス