ロストクロニクル7―21
気がつくとそのだだっ広く、机のみがある空間には、パールとウェドとフラットもいた。表情から察するに、どうやら三人もあのあの幻覚を体験したらしい。
「どう?びっくりした?」
椅子にはダイヤが座っていた。
三人は呆然と立ち尽くしていたが、彼だけは違った。
「いいや、大体の想像はついていたさ。その日記から」
タクトは机の上に置かれている日記を指さした。
「どういう意味?」
「まず、気づいたのは、行商人のクローブが日記に出てきたことだ」
ダイヤは黙って続きを待っている。
「つまり、特別おかしな所の無い人間は日記に出てきたのに、あんな恐ろしい化け物は日記には出てこなかったんだ」
「出会っていたけど、書かなかっただけかもしれないし、第一に、あたしはスペースと最近出会ったのかもしれないじゃない」
「日記の中にクローブが出てきているということは、君は日記を書いている時から既に、鏡の世界に入っていたということだ。クローブも鏡の世界の住人だろうからね」
「スペースは?」
「日記の文章から察するに、君は何度も鏡の世界に入ったんだろう。つまり、化け物と出会わないことなんてありえない。それに、日記は古代語で書かれているのに、君は普通の言葉で話している。だから、君は本物のダイヤじゃないと気づいたんだ」
「へぇ〜。なかなか頭いいんだ」
ダイヤは素直に驚いた。
「だけど、僕に分かったのはそこまでで、まさかスペースが本物のダイヤだったとは思わなかった」
「じゃあ、もう、正体を隠しても意味無いね。あたし、この姿嫌いなの」ダイヤは自分の隣に鏡を作った。その中からは、スペースが現れた。
(あたしが本物のダイヤ)
タクトには伝わらない言葉でスペースは話し出した。
「あたしが本物のダイヤと言ってます」
すかさずフラットが訳してくれた。
「僕が彼女の言葉を訳します」
スペースは続けた。
『この子はあたしが操っているだけ』
スペースはダイヤの頭を優しく二回叩いた。途端にダイヤの姿は消えた。
「どこに言ったんだ?」
スペースへの質問をフラットが訳してくれた。
『大丈夫。元のあるべき姿に戻しただけ』
パールはそれを聞いて、鏡の前に立ってみた。鏡にはもう一人のパールが、パールと同じく狐につままれたかのように、立ち尽くしていた。
「どう?びっくりした?」
椅子にはダイヤが座っていた。
三人は呆然と立ち尽くしていたが、彼だけは違った。
「いいや、大体の想像はついていたさ。その日記から」
タクトは机の上に置かれている日記を指さした。
「どういう意味?」
「まず、気づいたのは、行商人のクローブが日記に出てきたことだ」
ダイヤは黙って続きを待っている。
「つまり、特別おかしな所の無い人間は日記に出てきたのに、あんな恐ろしい化け物は日記には出てこなかったんだ」
「出会っていたけど、書かなかっただけかもしれないし、第一に、あたしはスペースと最近出会ったのかもしれないじゃない」
「日記の中にクローブが出てきているということは、君は日記を書いている時から既に、鏡の世界に入っていたということだ。クローブも鏡の世界の住人だろうからね」
「スペースは?」
「日記の文章から察するに、君は何度も鏡の世界に入ったんだろう。つまり、化け物と出会わないことなんてありえない。それに、日記は古代語で書かれているのに、君は普通の言葉で話している。だから、君は本物のダイヤじゃないと気づいたんだ」
「へぇ〜。なかなか頭いいんだ」
ダイヤは素直に驚いた。
「だけど、僕に分かったのはそこまでで、まさかスペースが本物のダイヤだったとは思わなかった」
「じゃあ、もう、正体を隠しても意味無いね。あたし、この姿嫌いなの」ダイヤは自分の隣に鏡を作った。その中からは、スペースが現れた。
(あたしが本物のダイヤ)
タクトには伝わらない言葉でスペースは話し出した。
「あたしが本物のダイヤと言ってます」
すかさずフラットが訳してくれた。
「僕が彼女の言葉を訳します」
スペースは続けた。
『この子はあたしが操っているだけ』
スペースはダイヤの頭を優しく二回叩いた。途端にダイヤの姿は消えた。
「どこに言ったんだ?」
スペースへの質問をフラットが訳してくれた。
『大丈夫。元のあるべき姿に戻しただけ』
パールはそれを聞いて、鏡の前に立ってみた。鏡にはもう一人のパールが、パールと同じく狐につままれたかのように、立ち尽くしていた。
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