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真実 27

[306]  彰子  2009-06-22投稿
 美佐から淳の荷物が届いた。淳は敢えて取りに行く事はなく、送るよう指示した。
 淳が学生時代から大切にしていた服は至るところに犬の毛がついており、また淳はうんざりした。亜子はそれをガムテープで何度も何度も取ってくれたが、二人で呆れた。
 「どうやったらこんなに犬の毛がつけられるのか…」
 淳は美佐に更なる怒りを覚えたが、その現実からも逃げたかった…次々と明らかになる現実は淳を愛していなかったという証明になるからだ。
 亜子は普段から文句を言う質では無かったが、さすがに美佐の心ない生活の仕方に腹が立った。
 「美佐さんってどうゆう人なの?」
 淳は亜子に聞かれて正直解らなかった。自分も美佐を見ていなかった。
 「さぁ…、なんせ自分の事だけな人間だったな。俺の大事にしてる物はどうでもよくて、俺の前では大事にしてるふりはしてた。  俺に聞かれるとまずい事も多かったと思うよ…。」
 「なんでそんなので夫婦なんて出来るの?聞かれていけない事があって、夫婦なんて私は絶対無理だわ。」
 淳は亜子にそう言われて気付いた。そうなのだ。何故そんな思いまでして夫婦生活をしなければならないのか…、世の中のほんの一握りの一流な金持ちでもないのに…。
 気楽に生活をし、普通に楽しみ、普通に仕事をし、相手を認め合って、信じ合って、尊重して。
 そんな相手と普通に腹を割って話し合い、生活がしたいと願っていたはずだし、そんな亜子と一緒になりたかったのだ。
 そう、自分自身を自分も含め、否定する生活はもうごめんだ。母親の事も大事にして欲しかった。男の子供の2人の母親だったから、女の子供が出来たらしたかった事もあっただろうし、いくら立場は嫁姑でも、もっと気さくに話せる相手と結婚していれば、この10数年母親を孤独にさせる事もなかった。
 父親が亡くなった時にも、相続の話などで美佐がでしゃばってきた。まだ母親が元気でいるのに…。

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