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バスターズ!・第四十四話「ラン」

[485]  博上 文  2005-11-18投稿
「あの〜・・・早く行きたいんだけど?」

龍一はぷいとそっぽを向いた。
なぜだかこいつの言うことは聞きたくない、そう思った。

「・・・しょーがないな〜。」

立ち上がる様子のない龍一に、ジョウは・・・

ガシッ!
「え?」

龍一の腹に片腕を回し、軽々と持ち上げ、まるで龍一を子供のように脇に抱えた。

「な・・・!?」
「ブリーフィングルームに、ちょっこ〜。」

そう言うと、ジョウは短距離走の選手ばりのスピードで走りだした。

「うあぁぁぁぁぁ!?」

龍一を脇に抱えているのにもかかわらず、ジョウの走る速度は並ではなかった。それ加え、一歩一歩の幅が広く、龍一はあたかも飛んでいる様な感覚におちいった。

(き、気持ち悪い・・・)
「えーとここを右・・」
カクッ!

ジョウは、スピードを落とさず、曲がり角を90゜で曲がった。

「ぐえっ!」

とたん、腹に衝撃が走る。気分はさらに悪くなった。
「と、とま・・・おろ・・・」
「え?なに?」

吐き気で、声が言葉にならなかった。

そして、二分後・・・。

キッ!
「とーちゃく〜。」

ジョウは『作戦考案室』のプレートのついたドアの前で、ピタリと急停止した。
「あれ?」

脇に抱えた龍一が、ぐったりしている。

「お〜い。」

「怪我・・人・・・は・・・いたわれ・・この・・・やろお・・・!」

途中、四つの曲がり角を抜け、気分がどん底の龍一は、ジョウのことが心底キライになった。

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