携帯小説!(PC版)

月の破片

[438]  α  2009-06-23投稿
夕焼け過ぎた
    暮れ空に

はがれかけた
    月がある

空は残照 失って

月は明かりを
   増していく


暗く冷えた 部屋の中

アダージェットが
    波を打ち

手の平だけは
   闇から守る


月はとうとう
   はがれ落ち

空を ゆられて
    沈みくる

受け止めようと
   差し出した

わずかばかりの
    手の平を

月は素っ気ない目で
   すり抜けて

グラスに落ちて
 カランと音たてる


グラスの中で
    月は溶け

細かな泡が
 たくさんのぼって
  はじけて消える

グラスの横から
   見てみると

小さな泡の
 ひとつひとつに

 小さな月が
  映りこんでは
しゅわしゅわ のぼる

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