時と空の唄14-6
「カロウド…あんた、自分が何をしたかわかってんのか?」
ランスォールは静かな声で言った。
「……。」
「どうしてシーラが死ななきゃならなかったのかわかってんのかって聞いてんだよッ!!」
「哀れな…娘だ。」
ようやく口を開いたカロウド。
「手出しをしなければこうはならなかった。
こんな小僧を庇ったりしなければこの刃はお前を貫くハズだった。」
「けど、その刃はシーラを貫き、彼女の命を奪った。」
「ああそうだ。
だからわしは【三種の神器】を使い、お前の命を代償にシーラを喚び戻す。」
そう言って高らかに笑い声を上げるカロウドを見て、ランスォールは拳を握った。
「そんなこと…させるかよ…っ」
絞りだすように言ったランスォールはその手に武器をとった。
思い出すのは――そう、あの日ソレリア・ユードの墓の前で彼女が花束代わりに唄ったリネア・トリスタ。
満天の星明かりに照らされた彼女を本当に美しいと、愛しいと思えた。
その時、神殿内ではありえないような優しく温かい風が吹き抜けた。
シーラはカロウドを、出来るなら救ってあげたいと、チャンスをあげたいと言ったがもう彼にはそんな選択肢は残されていない。
たとえ今から改心したところで、彼の肉体は既にガタガタだ。
「…いくぜ」
もう一度剣の柄を握り直し、ランスォールは床を蹴った。
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