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眠れぬ夜は君のせい〜35〜

[392]  ユーリ  2009-06-26投稿
佑典を助けたい。


〔京都へ行こう。〕


何の迷いもなく思った。

車のエンジンをかけたその時、フロントガラスに健太が写った。


『健太、ちょっとどいて!急いでるねん!』

健太は何も言わず助手席のドアを開けて入ってきた。


『健太!今急いでるんよ、あんたと絡んでる時間無い…』


健太の両手が私の頬に触れた。


一瞬何が起こったかわからなくて頭がパニクる…


健太はそのまま私をギュッと抱き寄せた。


『何健太、ちょっと冗談やめて!』


健太の力は強く、『痛いやん!離して!』


そう叫んだ時、健太は初めて力を抜いた。


『先輩…行かんといて下さい。』


健太の目は真直ぐで、小さい子供のように澄んだ目をしていた。


『俺、先輩が…』


健太をおもいっきり突き飛ばした。


どうしてかわからないけど、涙がいっぱい溢れてきた。


涙が洪水みたいに次から次溢れて、苦しくて、苦しくて…


息が詰まりそうだった。




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